社員インタビューは、採用サイトの定番コンテンツのひとつです。
一方で、いざ制作すると「どの記事も似たような内容になってしまう」「会社の魅力を伝えたいのに、当たり障りのない話ばかりになる」ということもあります。
会社の魅力を無理に語ってもらうのではなく、一人の社員の経験や仕事の中から、読み手が魅力を感じ取れる状態をどうつくるか。
社員インタビューを考える際のポイントを整理します。
社員インタビューは「会社の魅力を語ってもらう場」ではない
社員インタビューを企画するとき、「この会社の魅力は何ですか?」「社風をどう感じていますか?」といった質問から考え始めることがあります。
もちろん、こうした質問自体が悪いわけではありません。
ただ、質問が抽象的であるほど、返ってくる答えも「人がいい」「風通しがいい」「挑戦できる環境」といった抽象的なものになりやすくなります。
問題は、これらの言葉が間違っていることではありません。
社員本人にとっては、本当にそう感じているかもしれません。
ただ、その言葉だけでは、求職者が「自分にとって魅力的な会社なのか」を判断するのが難しいのです。
社員インタビューの役割は、企業の魅力を社員に代弁してもらうことだけではありません。
その会社で働くと、どのような出来事があり、どのような人と関わり、どのような判断をしながら仕事をしていくのか。
その実態を、一人の社員の経験を通じて具体化することにあります。
たとえば、「若手でも挑戦できる会社です」と伝えるよりも、「入社2年目のときに新しいプロジェクトを任され、最初は先輩と週に一度相談しながら進めた」という話のほうが、会社の考え方や仕事の任せ方は伝わります。
魅力を説明するのではなく、魅力を感じられる事実を集める。
その視点を持つだけでも、インタビューの内容は変わってきます。
誰に聞くかより先に、「何を伝えたいか」を整理する
社員インタビューでは、人選も重要です。
ただし、単純に「活躍している社員」「話が上手な社員」を選べばよいとは限りません。
先に考えたいのは、読者にどのような会社の姿を知ってほしいのかということです。
たとえば、「若手にも裁量があること」を伝えたいのであれば、若手社員がどのような仕事を任され、どこまで自分で判断できるのかを語れる人が適しています。
「部署を越えて協働する文化」を伝えたいなら、複数部門と関わりながら仕事をしている人のほうが、具体的な話を引き出しやすいでしょう。
また、一人ですべての魅力を伝えようとしないことも大切です。
若手社員からは成長の過程、中堅社員からは仕事の広がり、管理職からはチームづくり、異なる職種の社員からは仕事の多様性、といったように、複数の記事で会社を立体的に見せる方法もあります。
誰を取材するかは、「社内で誰が目立っているか」ではなく、「求職者にどのような判断材料を渡したいか」から逆算すると整理しやすくなります。
その際には、採用したい人物像との接点も考えておくとよいでしょう。
たとえば、自律的に動ける人を求めているなら、社員が自分で考えて行動した場面を紹介する。
チームワークを重視するなら、誰かと協力して困難を乗り越えた場面を取り上げる。
企業側が大切にしている価値観を直接説明するのではなく、社員の行動として見せる方法です。
人選は、それ自体が社員インタビューの編集でもあります。
「どう思いましたか」より「何がありましたか」を聞く
会社らしさを引き出すうえで重要になるのが、質問の具体性です。
「仕事のやりがいは何ですか?」
「職場の雰囲気はどうですか?」
「会社の好きなところは何ですか?」
こうした質問だけでは、どうしても回答が一般化しやすくなります。
そこで意識したいのが、「感想」だけでなく「出来事」を聞くことです。
たとえば、
「周囲に助けてもらったと感じた出来事はありますか」
「最近、自分で判断して進めた仕事はありますか」
「入社して最初に驚いたことは何ですか」
「仕事で失敗したとき、周囲はどのような反応をしましたか」
と聞いてみる。
すると、制度や理念の説明だけでは見えにくい、日常の会社の姿が出てきます。
さらに、
「そのとき誰に相談しましたか」
「相手は何と言いましたか」
「なぜその判断をしたのですか」
「その経験の前後で何か変わりましたか」
と掘り下げることで、エピソードはより具体的になります。
事前に質問リストをつくることは大切ですが、すべての質問を予定通り消化する必要はありません。
むしろ、話の中にその人らしいエピソードが出てきたら、予定していた質問から少し離れて掘り下げるほうが、その会社ならではの話につながる場合があります。
「風通しがいい」という言葉が出たなら、「そう感じたのはどんなときですか」と聞く。
「成長できた」と言われたなら、「入社当時と比べて、具体的に何ができるようになりましたか」と聞く。
抽象的な言葉を、そのまま記事にするのではなく、一度具体的な経験まで戻ってみる。
その積み重ねが、社員インタビューをありきたりなものにしないためのひとつの方法です。
魅力だけでなく、「自分に合うか」を考えられる記事にする
社員インタビューを採用コンテンツとして制作すると、つい会社の良い部分を中心にまとめたくなります。
ただ、求職者が知りたいのは必ずしも「良い会社かどうか」だけではありません。
「自分がこの環境で働けそうか」「自分が大切にしているものと合っているか」を確かめることも、社員インタビューを読む目的のひとつです。
だからこそ、仕事の難しさや、最初につまずいたこと、忙しい時期、向いている人・向いていない人なども、伝え方を考えながら含める価値があります。
たとえば、「裁量が大きい」という特徴は、自分で考えて動きたい人には魅力ですが、細かく指示を受けながら進めたい人には不安に感じられるかもしれません。
「社員同士の距離が近い」という特徴も、人によって受け止め方は異なります。
会社の特徴には、見る人によって魅力にも不安にもなる側面があります。
だから、社員インタビューでは「これは魅力です」と結論を先回りしすぎず、働き方や環境を具体的に示し、読み手自身が判断できる余白を残すことも大切です。
編集する際にも、社員の言葉をきれいに整えすぎないよう注意したいところです。
意味が伝わりやすいよう文章を整理することと、その人らしい感覚まで均一化してしまうことは別です。 少し意外な入社理由や、仕事に対する率直な迷い、その人独自の言葉遣い。
そうした部分が、かえって記事に人間らしさを与えることもあります。
社員インタビューを通じて伝わるのは、一人の社員の話だけではありません。
その人に会社が何を任せ、周囲がどう関わり、どのような経験を積んできたのかをたどることで、企業文化や仕事の進め方も見えてきます。
会社の魅力を強く語ることより、読み手が「この会社で働く自分」を具体的に想像できること。
その状態をつくれているかどうかが、社員インタビューを考えるひとつの基準になるのではないでしょうか。
株式会社カラビナは、企業や社員への取材を通じてその会社らしさを整理し、採用サイトや社員インタビューなど、求職者が働く姿を具体的にイメージできる採用コミュニケーションづくりを支援しています。
