採用サイトを見ていると、社員インタビューや仕事紹介、コンセプトムービーなど、動画を活用する企業を目にする機会が増えました。
一方で、制作にはそれなりの費用も時間もかかります。
「採用動画をつくれば応募が増えるのか」「自社にも必要なのか」と迷う採用担当者もいるのではないでしょうか。
結論から言えば、採用動画そのものに、応募を増やす特別な力があるわけではありません。
動画が得意なことと、自社が抱えている採用課題が重なったときに、はじめて有効な手段になります。
では、採用動画は何を解決することに向いていて、どのような会社で活用しやすいのでしょうか。
採用動画は「つくれば効果が出る」ものではない
採用動画の効果を考えるとき、最初に整理しておきたいのが、「何をもって効果とするか」です。
動画の再生回数が増えることなのか。
採用サイトの滞在時間が伸びることなのか。
エントリーが増えることなのか。
選考途中の辞退が減ることなのか。
あるいは、内定承諾につながることなのか。
採用活動には、企業を知る、興味を持つ、理解する、応募する、選考を受ける、入社を決めるという複数の段階があります。
動画が担える役割も、その段階によって異なります。
例えば、ほとんど企業名を知られていない会社が採用サイトの中に動画を置いたとしても、そもそもサイトを訪れる人が少なければ、大きな変化は期待しにくいでしょう。
この場合、先に考えるべきなのは認知をどう増やすかという問題です。
反対に、「採用サイトには来てもらえているが、仕事内容が伝わらない」「説明会後に辞退される」「面接で社風について何度も質問される」といった課題があるのであれば、動画が役立つ可能性は高くなります。
つまり、「動画に効果があるか」だけを考えるより、「いま採用活動のどこで候補者が止まっているのか」を見ることが重要です。
その課題を解く手段として動画が適しているか。その順番で考えると、必要性を判断しやすくなります。
動画が得意なのは、「情報」よりも「実感」を伝えること
採用情報を伝える方法は、動画だけではありません。
給与や休日、勤務地、福利厚生、選考フローなど、正確に比較したい情報は、むしろ文章や表の方が確認しやすい場合があります。
あとから見返したり、必要な情報だけを探したりすることも容易です。
一方、動画には、文章や写真だけでは伝えにくいものがあります。
例えば、社員同士がどのくらいの距離感で話しているのか。
オフィスや工場ではどのような音が聞こえるのか。
社員がどんな表情で仕事について話すのか。
仕事がどのような流れで進んでいくのか。
こうした情報は、細かく文章で説明するより、実際の姿を見せた方が理解しやすいことがあります。
特に採用では、候補者が知りたいことのすべてを、条件や制度だけで表現できるわけではありません。
「自分もここで働けそうか」
「どんな人たちと働くことになるのか」
「仕事の大変さも含めて、自分に合っていそうか」
最終的には、こうした感覚的な判断も企業選びに影響します。
だからこそ、採用動画の役割を「会社を魅力的に見せるもの」と考えすぎない方がよいでしょう。
むしろ、候補者がまだ想像できていない部分を、実感できる状態に近づけるものと考えた方が、動画の使い方は見えやすくなります。
動画と採用サイトのどちらが優れている、という話でもありません。
条件や制度はテキストで整理し、人や仕事の空気感は動画で補う。それぞれが得意な役割を分けることで、候補者にとって判断しやすい採用情報になります。
採用動画を活用しやすい会社には、いくつかの特徴がある
では、どのような会社で採用動画を検討するとよいのでしょうか。
一つ目は、「仕事内容を言葉だけで説明することが難しい会社」です。
BtoB企業や技術職、専門職などでは、会社名や職種名を聞いても、具体的に何をしているのか候補者が想像できないケースがあります。
一日の仕事の流れやプロジェクトの進み方、実際の現場を映像で見せることで、仕事への理解を補いやすくなります。
二つ目は、「人や社風が会社選びに大きく影響する会社」です。
社員同士の関係性やコミュニケーションの仕方、働いている人の考え方などが魅力であれば、それを文章だけで説明するには限界があります。
社員の話し方や表情まで含めて伝えられる動画との相性は比較的よいでしょう。
三つ目は、「候補者から誤解されやすい会社」です。
業界に対して「堅そう」「大変そう」「古そう」といったイメージを持たれている。
あるいは、社名から事業内容を想像しにくい。
そうした会社では、実際の職場や社員の姿を見せることが、先入観を更新するきっかけになることがあります。
四つ目は、「同じ説明を何度も行っている会社」です。
会社説明会や面談のたびに、仕事内容や会社の特徴について同じ説明を繰り返しているのであれば、その一部を動画に置き換える方法もあります。
候補者が事前に基本情報を理解できれば、説明会や面接では、より具体的な質問や対話に時間を使えるようになります。
そしてもうひとつ重要なのが、「動画を届ける場所がある会社」です。
採用サイト、スカウトメール、会社説明会、SNS、選考案内、内定者フォローなど、候補者との接点がすでにある会社ほど、動画を複数の場面で活用できます。
反対に、動画をつくったあと「どこに載せようか」と考える状態では、十分に活用されない可能性があります。
制作する前に、誰が、いつ、どこで見る動画なのかまで設計しておくことが重要です。
「動画をつくるか」より先に、3つのことを決めておく
採用動画を検討するなら、制作会社を探したり、企画を考えたりする前に、三つの問いを整理してみるとよいでしょう。
一つ目は、「候補者の何がわからない状態なのか」です。
仕事内容がわからないのか。
社員の雰囲気がわからないのか。
自分が活躍できるイメージを持てないのか。
ここが曖昧なままでは、会社紹介、社員インタビュー、仕事密着など、どの形式の動画をつくるべきかも決まりません。
二つ目は、「いつ見てもらうのか」です。
まだ会社を知らない人に見せる動画と、応募を検討している人に見せる動画では、必要な内容が違います。
認知段階であれば興味を持つ入口が必要です。
一方、選考中であれば、仕事内容や社員の考え方など、より深い情報が求められるかもしれません。
三つ目は、「見たあとに何が変われば成功なのか」です。
動画の再生回数だけでなく、採用サイトからのエントリー率、説明会への参加率、選考辞退率、内定承諾率など、採用プロセスの変化まで見ることで、動画が本当に役立っているのかを判断できます。
採用動画は、採用活動の万能な解決策ではありません。
給与や働き方などの条件に課題がある場合、それを動画だけで補うことは難しいでしょう。
そもそも候補者との接点がなければ、どれほど良い動画をつくっても見てもらえません。
一方で、「会社の実態は魅力的なのに、それが候補者に伝わっていない」という会社にとっては、動画がその差を埋める手段になることがあります。
大切なのは、「採用動画をつくるべきか」という問いだけで終わらないことです。
自社の採用では、候補者に何が伝わっていないのか。
その情報は、本当に動画で見せると理解しやすくなるのか。
そして、その動画をどの場面で使うのか。
そこまで整理できれば、動画をつくるべきかどうかも、自然と判断しやすくなるはずです。
株式会社カラビナも、企業らしさや採用課題の整理から、採用サイト・動画を含む採用コミュニケーションの設計を支援していますので、ぜひご興味ありましたらお問い合わせください。
