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組織開発がうまくいかない会社の共通点

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組織開発がうまくいかない会社の共通点

「やっているのに、変わらない」のはなぜか

サーベイを定期的に実施し、1on1を導入し、対話の場も設けている。

組織開発として世に紹介されている施策を、ひととおり取り入れている。

それなのに、組織の空気は変わった気がしない。数字も、現場の実感も、思うように動かない——。

こうした手応えのなさは、決して珍しいものではありません。

むしろ、熱心に取り組んでいる会社ほど陥りやすい状態です。

ここで多くの人が考えるのは、「手法が自社に合っていなかったのではないか」「もっと効果的な施策があるのではないか」という問いです。

そうして、次の手法を探し始めます。

けれども、うまくいかない会社を眺めていくと、つまずいているのは手法の選び方ではないことが見えてきます。

同じサーベイを使っても、活きる会社と形骸化する会社があります。

同じ対話の場を設けても、変化が生まれる会社と、時間だけが過ぎていく会社があります。

だとすれば、差は手法そのものではなく、その手前にあるはずです。

ここでは、うまくいかない会社に繰り返し見られる共通点を、三つの角度から整理してみます。

手法を疑う前に、確かめておきたい前提の話です。

共通点その①——「目的」より「手法」から入っている

最も多く見られるのが、目的よりも先に手法が決まっている、という状態です。

「他社がエンゲージメントサーベイを導入しているらしい」「対話型の組織開発が効果的だと聞いた」こうした情報を出発点に施策を選ぶと、いつのまにか「サーベイを実施すること」「ワークショップを開くこと」そのものが目的にすり替わっていきます。

本来、これらは手段にすぎません。

何のために、どんな状態を目指してそれをやるのか——その問いが抜け落ちたまま実行だけが進むと、施策は「やったかどうか」でしか評価できなくなります。

目的が曖昧なまま集めたサーベイの結果は、たいてい活用されずに終わります。

数字は出るものの、それをどう読み、何につなげるのかの基準がないからです。

「スコアが下がった」という事実だけが残り、次の一手が見えない。

手法から入る会社では、この「取ったが使えない」状態が繰り返されがちです。

うまくいく会社との違いは、順序にあります。

まず「自社の何を変えたいのか」があり、その見立てに合う手法を選ぶ。

手法は、目的が決まってはじめて意味を持ちます。

この順序が逆になっているかどうかは、一度立ち止まれば確かめられるはずです。

共通点その②——「誰の課題か」が定まっていない

二つ目の共通点は、取り組みの主語が曖昧なことです。

言い換えれば、「これは誰の課題なのか」がはっきりしないまま進んでいる状態です。

組織開発の施策は、しばしば人事部門が主導します。

それ自体は自然なことですが、問題は、人事が感じている課題が、そのまま現場や経営の課題と一致しているとは限らない点にあります。

人事は「部門間の連携が弱い」と捉えていても、現場は「日々の業務量こそが問題だ」と感じ、経営は「そもそも事業の方向性の話だ」と見ている。

三者の課題認識がずれたまま施策を打てば、それは誰にとっても自分ごとにならず、宙に浮きます。

この状態でよく起きるのが、現場の冷めた反応です。

「また人事が何か始めた」「忙しいのに、余計な仕事が増えた」。

施策への反発や無関心は、現場のやる気の問題ではなく、課題が共有されていないことのサインであることが多いのです。

自分が感じてもいない問題の解決に、人は前向きにはなれません。

うまくいっている会社は、施策を打つ前に、この「誰の課題か」を揃える時間をかけています。

経営・人事・現場が見ている景色のズレを、まずテーブルの上に出す。遠回りに見えますが、主語が定まらないまま走り出すよりも、はるかに着実です。

共通点その③——「当事者」が置き去りになっている

三つ目は、変化の当事者であるはずの現場が、施策の「対象」として扱われている、という共通点です。

組織開発では、しばしば施策が上から降りてきます。

経営や人事が良かれと思って設計し、現場はそれを受ける側に回る。

この構図そのものに、実はうまくいかなさの根が潜んでいます。

関係性というものは、外から与えられた仕組みだけでは変わりません。

当事者が自分たちの状態に気づき、自分たちの言葉で語り、自分たちで変えていこうとしたときに、はじめて動き出すからです。

「対象」として扱われた現場は、施策を「やらされるもの」として受け取ります。

サーベイには当たり障りのない回答をし、対話の場では本音を伏せ、ワークショップは時間が過ぎるのを待つ場になる。

こうして、形式だけが整い、中身が伴わない「形骸化」が生まれます。

施策は実施されているのに何も変わらない、という状態の多くは、ここに由来しています。

反対に、変化が起きる会社では、現場が「対象」ではなく「主体」になっています。

人事の役割は、答えを配ることではなく、当事者が語り出せる場をつくり、埋もれた声を引き出すこと。

主役はあくまで現場であり、人事はその触媒に徹する。

この立ち位置の違いが、同じ施策の成否を静かに分けています。

手法を変える前に、確かめたいこと

ここまで見てきた三つの共通点——目的より手法から入っている、誰の課題かが定まっていない、当事者が置き去りになっている——は、いずれも手法の巧拙とは別の次元にあります。

だからこそ、うまくいかないときに新しい手法を探しても、多くの場合、同じ場所に戻ってきます。

問題が手法ではなく、その手前にあるからです。

もし今、組織開発に手応えを感じられていないのなら、次の手法を探す前に、この三つを自社に当てはめてみてください。

目的が手法にすり替わっていないか。課題の主語が揃っているか。現場が主体になれているか。

この問いに向き合うことは、耳に痛い作業かもしれません。

ですが、うまくいかなさの正体を、施策の外側ではなく自社の進め方の内側に見つけられたとき、組織開発は前に進み始めます。

うまくいく会社とうまくいかない会社を分けるのは、優れた手法を知っているかどうかではありません。

手法の手前にある問いに、どれだけ丁寧に向き合えるか。

その差こそを、まずは持ち帰ってみてください。

株式会社カラビナは、組織の課題を浮き彫りにする取材力を起点に、経営・人事・現場のあいだにある課題認識のズレを言葉として可視化し、組織開発が空回りしないための土台づくりを支援しています。

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