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ビジョンとは?中小・BtoB企業にも必要?策定方法や導入事例もわかりやすく解説 Vol.3

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ビジョンとは?中小・BtoB企業にも必要?策定方法や導入事例もわかりやすく解説 Vol.3

ビジョン・ミッション・バリューの導入事例(中小企業)

それでは実際に、カラビナが手がけた事例の中から、ビジョン・ミッションなどを策定したことによって大きな効果が得られた企業の例を見ていきましょう。中小企業やベンチャー企業などの事例です。自社への導入の参考になればと思います。

企業のスタンスが上手く伝わるスローガンを策定し、採用に成功した電気設備工事業A社様

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千葉県にあるA社様は、公共施設の電気設備工事業で急成長を遂げている企業です。優秀な人材を必要としているにも関わらず、よくある電気設備会社と見られがちであったため、採用がうまくいかないという悩みを持っておられました。

私たちはまず、A社の理念・スタンスを明確にすることを目指し、「なぜ」を積み重ねて質問を繰り返しました。そこからわかったのは、社長の「顧客や社会からの信頼を得るための誠実な仕事ぶり」と、それを支える強い組織力を築くために「社員との良い関係を大切にする」という方針でした。顧客に対するスタンスは、ワークライフバランスやキャリア形成のための支援など、社内の従業員に対しても同じように向けられていました。私たちは、これがA社「らしさ」であり、ビジョンやミッションに繋がるコアだと考えました。

そこで、企業スタンスを「Sincerity in Quality(品質への誠実なこだわり)」というスローガンで表現。都心郊外の千葉で事業を行う際、地元で先進的な存在として見られることで、他社との差別化を図りたいという社長のご要望がありました。そのため、あえて英語のスローガンを採用したのです。

このスローガンをサイトに掲載してからは、「欲しい人材」からの内定をほぼ成功させることができるようになりました。国内トップクラスの通信会社の技術者の採用にも成功。勝因は、ビジョン・ミッション・バリューが理解できる内容を掲載したことで、応募者だけでなくその家族など周囲の人にも、企業の先見性や将来性、そして社員を大切にする姿勢が伝わるようになったこと。「Sincerity in Quality」というスローガンは、時代遅れの電設業のイメージを払拭し、現代に適した感覚を持つ企業としての印象を与えることに成功しました。

ビジョン・ミッション・バリューの導入事例(ベンチャー企業)

事業価値を再定義し、ミッションスローガンを言語化。新卒採用市場で成功を納めたS社様

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中小・中堅企業向けのセキュリティ機器を提供するベンチャー企業S社様は、新卒の採用に悩みをお持ちでした。まだ社会を知らない学生は、どうしても派手で華やかな企業や業種に目を向けます。「縁の下の力持ち」的な存在であるセキュリティ事業はその点において不利で、合同説明会では学生が話を聞きにこないと嘆いておられました。

そこでカラビナでは、社長をはじめ、主要事業のキーパーソンや活躍する社員、そして最近入社した新卒社員など多数の人々の意見を丁寧にヒアリングしました。結果的に、知られていないのが勿体無いぐらい「とても良い会社」であることが判明しました。経営の透明性が高く、ポジティブな環境で、正直な方がとても多い職場だったのです。しかし、「セキュリティ」という言葉では、この魅力を上手く伝えきれません。

この課題を解決するために、企業の強み・事業価値を再定義し、「目力」というコンセプトを開発しました。セキュリティとは一見異なるように思えますが、事業内容を見れば、「人間よりも優れた目で社会を見つめる」というミッションとして定義できます。そして「社会にもっと、目力を」というスローガンを開発し、この新しいコンセプトを用いることで、イメージを知的で洗練された企業に一新しました。その結果、採用においても大きな成功を収めることができました。

新しい言葉の策定によって企業の強みが再定義されたため、それが社内に浸透し、採用担当者も事業説明の仕方を変えて話すようになりました。結果的に、企業の魅力や将来性が学生にうまく伝わるようになり、難易度の高かった上位校学生の採用にも成功しました。

ビジョン策定についてよくある疑問Q&A

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Q. ビジョン策定を行う場合に、ビジョン・ミッション・バリューのすべてを構築するべきでしょうか?

A. 3つをすべて構築することにこだわる必要はありません

ビジョンをはじめとする理念体系を整理したいというお客様によくある質問ですが、カラビナでは必ずしも、ビジョン・ミッション・バリューの3つを整えることを推奨してはいません。その理由として、これまでしっかりとビジョンなどの理念を構築してこなかった企業では、どれか一つでも大きな意味や効果があることが多いためです。

 お客様の考え方にも依りますが、私たちは、ビジョンかミッションのどちらか(ビジョンをお勧めすることの方が多い)と、それを具現化するために必要となるバリュー=行動指針の2つの構築を推奨することが大半です。

Q. 古くからある社是や経営理念と新たなビジョンとの接続や関係性をどう整理すべきか悩んでいます。

A. 歴史のある企業の場合、こうしたお悩みを抱えているケースがよくあります。社是や経営理念がある場合、まず確認するのが、それが今どれくらい社内で浸透しており機能しているかというポイントです。例えば、社是にある精神は今もある程度、大事にされてはいるが、言葉が古く難解で若い世代を中心に親しめない層が増えている、または、社是の考え方は今も大切だが、それだけでは時代に合わずチューニングが必要と言った場合。こうした時は、時代とお客様の課題にあった形で、社是の精神を宿しながら現代に合う表現に作り直すことがあります。

また、経営理念に多いケースとして「信頼」などあまりにも意味が大きく解釈が曖昧になりやすいなどの言葉の問題や「業界のトップを目指す」など順位や量的な目標になっており、「どんな世界を作りたいか」「何を持って貢献したいのか」が見えにくいケースなどは、理念策定時の原点を掘り起こしながらも、今の経営陣や社員の意志や思いを汲み取ってゼロからに近い形で開発していきます。

Q. ビジョンは作ったものの、形骸化してしまっている場合、どのようにするべきでしょうか?

A. ご相談の中でも、よくあるお悩みです。ビジョンが形骸化してしまう要因は大きく2つ。

1つ目は開発や言葉の選定プロセスに問題があったケースです。ビジョン開発は、単なる言葉選びではないため、経営層や社員などを巻き込んで開発過程から”自分ごと化”しやすい状態を作ることが大切です。にも関わらず”なんとなく雰囲気がいいから選んだ”、”社長の思いつきだった”など、言葉の背景に戦略性や深みがない場合は形骸化しやすいと言えます。

2つ目は、ビジョンで意味する内容や言葉そのものは良いものの、社員に浸透するための工夫がなされていないケースです。本来ならば、開発時から社員を巻き込み”自分ごと化”するのが望ましいものの、このようにビジョン開発時にチャンスを逃してしまった場合は、同じような効果を生むためにバリューの開発を社員や経営層を巻き込みながら行い、その後にイベントや広報、評価制度、アワードなどの仕組みを整えて浸透を図っていくなどの解決策があります。

Q. せっかくビジョンを策定したものの、一向に効果が出てこないのはなぜでしょうか。

A. ビジョンを策定しても、社内の雰囲気が変わらない。よいアクションが見えてこない。エンゲージメントが上がらない。といった場合は、社員の中でビジョンへの理解や咀嚼、共鳴が不足していることが考えられます。経営サイドでは「ビジョンをポスターにして掲示するなどの努力はしているのに…ということもあり得ます。字面ではわかるけれど、それがどれだけ自分にとって重要で意味があるのか。それを理解してもらうためには、ビジョンを咀嚼するための参加型のワークショップやビジョン研修、ビジョンに該当するような事例を集めて現実の業務とビジョンとの接続を図る、などの方法があります。

Q. ビジョンを策定する上で、最適な時期はありますか?

A. ビジョン策定は、経営のどのフェーズで行っても意味があり無駄にはなりません。しかし、お勧めのタイミングはやはり区切りの時期、つまり経営ステージが変化する時です。少人数の企業から50名、100名、300名と人数が増え、経営者の思いが浸透にしにくくなった時。ビジネスモデルが変化し、価値観を変える必要があるなどの変革期。IPOなどやホールディングス化のタイミング。また、企業ブランドを見直したいと言った時にも、プロジェクトの基礎としてビジョンを見直すことも有効です。

Q. IPOやホールディングス化の際に、ビジョンを策定するべきでしょうか。

A. IPOやホールディングス化を行うなど、経営の見直しの時期にビジョンの策定や再整理はとても有効です。IPOなどの場合では、上場を通して自社がどのように社会に貢献していきたいのか、どんな世界を作りたいのかを整理することで、社内には意識変革を、社外には新たな期待を呼び起こすことが可能です。

一方で、持ち株会社を作り、これまでの事業部を子会社として傘下に置くと言ったケースでは、そもそも各社がどのような社会を目指すのかと言った方向性=ビジョンを整理するだけでなく、「グループ全体としてどこに向かうのか」も整理。その上で、同一グループらしい空気感や価値観を得られる内容や言葉にしていくことが必要です。ここを間違えてしまうと、各子会社が部分最適で動き出してしまい、せっかくグループという規模の強みがあるのに、単一でパワーの弱い企業集団に見えてしまうこともあります。こうした経営の転機こそ、深い経験のあるプロフェッショナルとの協働やアドバイスが有効なのです。

ここまで、ビジョンの定義を中心に、ビジョン・ミッション・バリューの定義やメリット、策定方法などを見てきました。私たちカラビナは、経営や組織に関わるコミュニケーションを、クリエイティブの力で加速することを志しています。どんな企業にも、経営者の強い志や、社会に対する想いが宿っているもの。ですが、それが見えにくくなったり、うまく内外に伝わらなかったりする時には、ぜひ私たちにご相談ください。高いヒアリング力・洞察力を用いて御社の強みや文化を引き出し、論理と感情の両方から人の心に訴えかけるビジョン・ミッション・バリューを言語化します。

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