企業ブランディングという言葉は、この数年で急速に広まりました。
採用、広報、経営戦略など、さまざまな場面で語られるようになっています。
しかし現場で話を聞くと、この言葉が指している内容は必ずしも一致していません。
ある企業ではロゴやデザインの刷新を意味し、別の企業では採用メッセージの整理を指し、
また別の場面では企業文化や価値観の言語化として語られています。
同じ言葉を使っていても、想定している範囲や目的はそれぞれ異なっている。
その状態のまま議論が進むことも、実務では珍しくありません。
そこでこの記事では、「企業ブランディングとは何か」という問いについて、実務で使われている意味や範囲を整理しながら、考えるための材料をまとめます。
企業ブランディングという言葉が指す範囲
企業ブランディングという言葉には、かなり広い意味が含まれています。
マーケティングの文脈では、企業そのものの価値や印象を社会にどう伝えるか、という取り組みを指すことが一般的です。
商品ブランドが「この商品にはこういう価値がある」と認識されるように、
企業ブランドは「この会社はこういう会社だ」と理解される状態を指します。
ただしここで重要なのは、ブランドは企業が一方的に決められるものではないという点です。
企業が発信する情報、商品やサービスの体験、働く人の姿、社会との関係性。
こうした要素が積み重なり、結果として社会の側に形成される認識。
それが企業ブランドと呼ばれるものです。
つまり企業ブランディングとは、企業の印象を単に作る活動ではなく、企業がどのように理解されるのかを整理する取り組みと捉えることができます。
なぜ企業ブランディングが語られるようになったのか
企業ブランディングが頻繁に語られるようになった背景には、情報環境の変化があります。
企業の情報は、企業サイトだけでなく、SNS、口コミサイト、ニュース記事など、さまざまな場所に存在しています。
企業が発信するメッセージだけでなく、第三者の評価や体験も含めて企業像が形成される時代になりました。
また、採用の場面でも企業ブランドの影響は大きくなっています。
求職者が企業を選ぶ際、仕事内容や待遇だけでなく、
・どんな会社なのか
・どんな価値観を持っているのか
・どんな人が働いているのか
といった情報を重視する傾向が強くなっています。
そのため、企業が社会からどのように理解されているのかは、採用活動にも直接影響する要素になっています。
企業ブランディングで整理されるもの
企業ブランディングの取り組みは企業ごとに異なりますが、多くの場合、いくつかの要素が整理されています。
一つは、企業の価値です。
企業が何を大切にしているのか。
社会の中でどのような役割を果たしているのか。
こうした部分が曖昧なままだと、企業のメッセージは場面ごとに変わりやすくなります。
もう一つは、企業の特徴です。
同じような事業を行う企業が多い中で、その会社ならではの特徴はどこにあるのか。
事業、組織、歴史、文化などを含めて整理されることが多い領域です。
そしてもう一つは、企業の見え方です。
・企業サイト
・採用サイト
・広報資料
・営業資料
それぞれの接点で企業がどのように表現されているのか。
バラバラに作られている情報を企業として一貫した形に整える。
ここも、ブランディングの重要な要素です。
「ブランディング」を考えるときの視点
企業ブランディングを考える際、よく見られる誤解の一つに、ブランディングをデザインの問題として捉える考え方があります。
ロゴやデザインは確かに企業の印象に影響します。
しかし、それだけで企業ブランドが形成されるわけではありません。
企業ブランドは、
・事業の内容
・顧客との関係
・働く人の姿
・社会との関わり方
こうした複数の要素が重なって形成されます。
そのため、ブランディングの取り組みも、単に見た目を整えるものではなく、企業の構造や価値を整理するプロセスとして扱われることが多くなっています。
企業ブランディングとは何か。
この問いに唯一の答えがあるわけではありません。
ただ、企業という存在がどのように理解されているのかを整理し、その認識を企業としてどう扱うのか。
その視点を持つことが、企業ブランディングという言葉を考える際の一つの出発点になると言えるでしょう。
株式会社カラビナは、事業・組織・採用の構造整理を通じて、企業ごとのブランドのあり方を言語化する支援を行っています。
