「理念は一度作ったら、簡単に変えるものではない」
「会社の軸だから、ブレずに持ち続けるべきだ」
採用や組織の文脈で、こうしたフレーズはよく使われます。
ただ、実際の現場を見ていくと、その理念が日々の判断や会話の中で参照されているかというと、少し違う状況に出会うこともあります。
採用基準に反映されていない。
評価や育成の言葉として使われていない。
事業や組織が変わっても、理念については誰も触れない。
理念は存在しているけれど、扱われていない。
本記事では、理念を「変えるべきかどうか」を結論づけるのではなく、作った理念が今どのような状態に置かれているのかを整理します。
理念が「ある」ことと「機能している」ことは別の話
多くの企業には、すでに理念があります。
課題になるのは、その有無ではありません。
・意思決定の場で参照されているか
・採用や配置の判断に使われているか
・現場の言葉に翻訳されているか
こうした視点で見ていくと、「掲げている」ことと「機能している」ことの間には、想像以上の距離があることが分かります。
理念が間違っているわけではない。
ただ、運用の回路に乗っていない。
その状態が続くことで、理念は少しずつ「触れられない存在」になっていきます。
なぜ理念は「作ったまま」になりやすいのか
理念が形骸化する理由は、作ったあとの使い道が設計されていないことにあります。
策定時には時間をかけて議論したものの、その理念を「どこで・誰が・何の判断に使うのか」まで具体化されていない。
結果として、日常業務の中で参照される場面が生まれません。
一方で、事業や組織は少しずつ変わっていきます。
・採用対象が変わる
・事業フェーズが変わる
・マネジメントの層が変わる
そうした変化に対して理念が再解釈されないまま時間が経つと、理念は否定も更新もされず、ただ置かれ続けます。
これが「作ったはいいものの形骸化している」状態の正体です。
理念は「完成品」ではなく、参照され続けるもの
ここで一度、理念の位置づけを整理しておく必要があります。
理念は、完成した瞬間に役割を終えるものではありません。
掲示されているかどうかよりも、参照されているかどうかで価値が決まります。
・意思決定に迷ったとき
・採用で判断が割れたとき
・組織の方向性を確認したいとき
そうした場面で参照されない理念は、内容の良し悪し以前に、役割を果たせていない状態にあります。
作ったままになっている理念は、会社の姿勢の問題というより、事業・組織・運用の接続点が曖昧になっているサインと見ることもできます。
変えるかどうかの前に、判断材料を整理する
理念を変えるべきかどうか。
その問いに答えを出す前に、整理しておきたい視点があります。
・今の理念は、どの判断で使われているか
・逆に、使われていないのはどの場面か
・事業や組織の変化と、どこで噛み合っていないか
ここで重要なのは、理念そのものを評価しないことです。
正しいかどうかではなく、今の会社で機能しているかどうかを見る。
理念をそのまま使い続けるという選択もあれば、言い換える、補足する、位置づけを変えるという選択もあります。
どの選択を取るにしても、必要なのは結論ではなく、判断可能な状態です。
株式会社カラビナは、社内へのヒアリングなどを通じて、会社の道標として参照される理念の整理と言語化を支援しています。
理念浸透に向けたワークショップなども含め、状況に応じたかたちでご提案しています。
