同業他社を並べてみたものの、結局どこまでを競合と呼ぶのか分からない。
規模もフェーズも違う企業と比べても、意味があるのか判断できない。
比較表は埋まったけれど、そこから何を決めればいいのかは曖昧なまま。
採用競合を調査するときのこうしたつまずきは、分析力やセンスの問題ではありません。
多くの場合、「競合」という言葉が指している範囲や役割が整理されないまま、作業だけが先に走っていることが原因です。
この記事では、どのように切り分け、どの視点で見れば、判断材料として使える状態になるのかに必要な考え方を解説していきます。
採用における「競合」は、企業同士ではなく選択肢同士
採用競合という言葉が分かりづらくなる理由のひとつは、企業単位で考えすぎてしまう点にあります。
A社とB社が同業だから競合、という整理は分かりやすい一方で、実務では機能しにくい場面が多いです。
採用は、企業同士の競争というよりも、求職者の選択肢同士が並ぶ場面です。ある人にとっては、同業他社ではなく、まったく別の業界や働き方が比較対象になっていることも珍しくありません。
この前提に立つと、採用競合は「企業リスト」ではなく、「選択肢の集合」として捉え直す必要があります。
・正社員か業務委託か。
・スタートアップか大手か。
職種名は同じでも、求められる役割や裁量が違う場合もあります。
競合を見つける、というよりも、「自社のポジションが、どの選択肢群の中に置かれているかを把握する」その作業に近いと言えます。
同業比較が機能しないときに起きていること
同業他社を並べても示唆が出ない場合、比較の軸がずれていることが多くあります。
例えば、事業内容や売上規模だけで企業を並べてしまうケースです。
求職者が見ているのは、必ずしも企業の外形的なスペックだけではありません。
実際には、以下のような要素が混ざり合って判断されています。
・どんな役割を期待されているのか
・入社後の数年が想像できるか
・成長や安定のどちらが優先されているか
・働き方や評価の仕組みは自分に合っているか
これらが整理されないまま「同業」というラベルだけで比較すると、違和感が残ります。
比較しているつもりでも、判断に使える情報にならないためです。
採用競合を考える際は、
「この会社と比べるべきか」ではなく、
「同じ判断軸の上に載っている選択肢か」
という観点に切り替える必要があります。
採用競合を整理するための三つの視点
採用競合を実務で使える形にするには、視点を分けて整理することが有効です。
企業名を先に並べるのではなく、条件や構造から切り分けていきます。
一つ目は、役割の近さ。
職種名が同じかどうかではなく、実際に担う業務や期待値が近いかどうか。
二つ目は、意思決定の文脈。
その選択が、キャリアの「拡張」なのか「安定」なのか。
求職者がどの局面で検討している選択肢なのか。
三つ目は、比較されやすい条件。
年収や働き方だけでなく、成長環境や裁量の有無など、最終的に迷いやすいポイント。
この三つを軸にすると、同業他社はその一部として自然に含まれることもあれば、
逆に、別業界の企業や働き方が主要な競合として浮かび上がることもあります。
重要なのは、網羅することではなく、「なぜこの選択肢と比べられるのか」を説明できる状態にすることです。
競合を決めきらない、という判断も含めて
採用競合は、必ずしも一意に定まるものではありません。フェーズや職種、採用目的によって変わりますし、変わっていいものでもあります。
無理に「この5社が競合だ」と固定してしまうと、かえって施策や表現の幅を狭めてしまうことがあります。
むしろ、「どの層から見たときに、どの選択肢と並ぶのか」といった揺らぎを把握しておくこと自体が、判断材料になります。
採用競合を見つける、という行為は、他社を打ち負かすための準備ではありません。
自社がどの文脈で選ばれようとしているのかを、静かに確認する作業です。
その整理ができていれば、打ち出すべき情報、語るべき強み、あえて語らないことも見えてきます。
株式会社カラビナは、採用競合や採用ポジションの整理を起点に、採用広報・採用サイト・コンテンツ設計まで一貫して支援しています。課題が明確でない段階も含め、お気軽にご相談ください。
