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企業スローガンとは?社是と何が違う?中小企業やBtoB企業での効果的な事例も紹介 Vol.1

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企業スローガンとは?社是と何が違う?中小企業やBtoB企業での効果的な事例も紹介 Vol.1

「企業スローガン」とは

「企業スローガン」とは、企業のありたい姿や社会に提供したい価値を、端的な言葉かつその企業らしい言い回しでまとめたものです。 TVコマーシャルや広告では、企業のロゴとセットで置かれることが多く、記憶に残りやすいよう、メロディに乗せて流されることもあります。

企業ブランディングには欠かせない「企業スローガン」

そもそも企業にとってブランディングは、「自分たちは何者なのか」「どんな強みを持ち、どのような社会課題に貢献できるのか」などを正しくユーザーに伝える役割を果たします。それらのブランディング活動の中で企業スローガンは、企業のロゴや理念とセットで伝えられ、10年、20年と使われることで、その企業の「顔」となっていきます。
キャッチコピーが、商品やサービスごとのメッセージ伝達を担うのに対し、企業スローガンは、企業全体を包括したメッセージとして、ユーザーとの「約束」のような役割を果たします。

もっと簡単に言うと、「10年後、その企業がどんな風になっていたいのか?」を示したものと言えます。しっかりとビジョンを宣言することで、消費者は企業に安心感や好感を持ちますし、社員は将来像がイメージでき、前向きに仕事に向き合えることでしょう。このようにビジョンは、「未来志向」で考えることが肝要です。

なぜ企業スローガンが必要なのか?

「なぜ企業スローガンが必要か?」という問いは、「なぜ企業ブランディングが必要か?」という問いに、そのままつながります。

企業ブランディングは、「企業が提供する製品・サービスや、社員が提供する体験、その企業が持つ独自の価値観などを包括した企業イメージを構築すること」を指します。ブランディングが成功すれば、まずユーザーは製品やサービスの想起をしやすくなります。それだけでなく、その企業独自のイメージが形成され、ユーザーは信頼や愛着の念を抱くようになります。簡単にいうと「ファンになる」ということです。

ブランディングが成功し、ユーザーに正しい企業イメージが伝わっていると、企業にとって適切な顧客層がその企業の製品・サービスを購入します。ファンになったユーザーは、長期間にわたり継続的にその企業の商品を購入・利用する可能性が高まります。これを顧客生涯価値(LTV=ライフタイムバリュー)と呼びます。
企業にとってブランディングは、顧客との長期的な関係を築き、その価値を最大化する重要な手段なのです。これはもちろん、BtoC企業だけでなく、BtoB企業にも共通しています。
ブランディング構築において企業スローガンは、企業の伝えたいことを「よりわかりやすく、魅力的に」ユーザーに伝える役割を果たします。その企業に対して長く記憶させたり、愛着を持たせたりすることが可能になります。

では、より深く理解するために、実際の企業スローガンの具体例を見てみましょう。

大手企業に見る企業スローガンの具体例

1)HITACHI

日立のスローガンは「Inspire the next」です。日立のグループビジョンと、このスローガンの関係性について、日立のwebサイトで説明されています。

さらなる飛躍を遂げるために。資源・エネルギー・環境問題など、現代の地球規模の課題に真正面から取り組み、持続可能な社会を実現するために。これからの私たちのあるべき姿を示したものが、日立グループ・ビジョンです。

日立グループ・ビジョン
「日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界を目指します。」

(中略)

これからの日立グループのあるべき姿を示した「日立グループ・ビジョン」。このビジョン実現への想いを宣言したスローガンが、「Inspire the Next」です。
「Inspire」の語源は、ラテン語の「In」(中へ)+「Spirare」(息吹)で、「中に吹き込む」、「膨らませる」、「鼓舞する」という意味のほか、「精神、意識を高揚させる」、「元気づける」などの意味を持ちます。
「Next」の右上に赤く伸びるラインは「Inspire Flash」といいます。日立がさらに伸びていくという姿勢、新しい時代に進んでいくという意思の強さを象徴しています。
活気あふれる世界をめざして。
日立グループは、次なる時代に息吹を与え続けます。

https://www.hitachi.co.jp/about/corporate/identity/details.html

世界・社会に対して、イノベーションで刺激を与える・活気あふれる世界を目指すというビジョンを「Inspire the next」というスローガンで端的に伝えています。平易な言葉で理解しやすいビジョンをスローガン化する際に、「dream」や「future」のような、他社も利用しがちな単語を選択していないところに、日立らしさや、プロのコピーライターの技術が光っていると言えます。

2)ニトリ

slogan_nitori.jpeg

ニトリのスローガンは「お、ねだん以上。」です。ニトリグループが何を目指し、社会に対し何を実現したいと考えているかを言語化した「社是」が、ニトリのwebサイトに掲載されています。

ニトリグループ社是

  1. 私たちは、世界で豊かな暮らしを提供します。

  2. 私たちは、品質が維持された商品をより安くお届けします。

  3. 私たちは、トータルにコーディネートされた住まいを提案します。

  4. 私たちは、世界でA級のスペシャリストを目指します。

また、この社是を具体的なアクションに落とした「行動憲章」には、下記のような説明があります。

私たちは、品質が維持された商品・サービスを、お求め易い価格で提供します。
私たちは、社会の「不平・不満・不便」を発見し、その原因を突き詰め、改善改革を繰り返して常に成長し続けます。

https://www.nitorihd.co.jp/ir/compliance/group_charter.html

「品質が維持された商品を、お求め易い価格で」提供する。また、「不平・不満・不便」といったユーザーの「不」を解消する商品を提供する。それが「お、」とユーザーを驚かせる体験に繋がる。ニトリの哲学だけでなく、トーン&マナー(企業の持つパーソナリティや空気感)まで感じさせる、クリエイティブに工夫を凝らしたスローガンとなっています。

3)PERSOL

slogan_pct.png

PERSOLのスローガンは「はたらいて、笑おう。」です。主に人材派遣業を行うPERSOLグループが、どのような来歴を辿り、どのような考え方で事業展開をしているか説明した「グループストーリー」のページには、下記のように書かれています。

「はたらいて、笑おう。」は、パーソルが
実現していきたい社会です。
多様な価値観を持った個人に向き合い、
世界中の誰もが、「はたらいて、笑おう。」を実感できる未来をつくっていくこと。
それが、私たちの使命です。
一人ひとりの多様なはたらき方・生き方を
応援したいという想いを込めて、
パーソルでは「はたらく」を平仮名で表現しています。

https://www.persol-group.co.jp/corporate/vision/

PERSOLは元々、人材派遣業から始まった企業です。女性が自由に職業を選べなかった時代に創業していることから、「多様なはたらき方は、人の人生をより良くする」という理念を持っているようです。「はたらいて、笑おう。」はその考え方について、ユーザー側に立ったとき、どうメッセージされると親近感が湧き、企業に対して愛着が持てるかをふまえ、PERSOLの考え方を、とても上手く端的にメッセージ化した表現になっています。

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